WHOモノグラフに見るツボクサ
スキンケアで人気の「CICA(シカ)」=ツボクサ(Centella asiatica)は、実は世界保健機関(WHO)が編さんした薬用植物のモノグラフにも収載された植物です。このページでは、その公式資料に何が書かれているのか、そしてなぜそれが「信頼できる出発点」になるのかを整理します。
WHOモノグラフとは何か
「WHOモノグラフ(WHO Monographs on Selected Medicinal Plants)」は、世界保健機関が世界中で使われてきた薬用植物について、 植物学的な素性・成分・伝統的な利用・研究で確認されている作用・安全性などを、専門家の査読を経て一冊にまとめた公的資料です。 その第1巻(1999年)に、ツボクサの地上部が「Herba Centellae」という名で収載されています[1]。
ポイント
個人サイトや広告ではなく、国際的な公衆衛生機関が中立の立場でまとめた資料である、という点がこのモノグラフの価値です。 いわゆる「一次情報」に近い、権威ある出発点になります。
ツボクサ(Herba Centellae)の収載内容
モノグラフでは、ツボクサがどんな植物か(学名 Centella asiatica、セリ科)、どの部位を使うか(地上部)、 主要な成分は何か、といった基礎情報が体系的に整理されています[1]。 美容の文脈で注目されるトリテルペン類(アジアチコシド、マデカッソシド、アジア酸、マデカッシン酸)は、 ツボクサを特徴づける成分としてここでも扱われています。成分そのものの詳しい話は ツボクサ成分の総まとめで確認できます。
記載された利用と作用
WHOモノグラフには、伝統的に用いられてきた用途に加えて、研究で検討されてきた作用が紹介されています。 代表的なのが創傷(きず)の治りを助ける働きにまつわる記述で、皮膚の結合組織や治癒過程との関わりが取り上げられています[1]。 肌への関心が高いのは、この「皮膚をすこやかに保つ」文脈の研究の蓄積があるためです。
モノグラフは、「これまでにわかっていること・伝えられてきたこと」を整理した資料です。呼び名の違い(シカ/センテラ/ゴツコラ等)で戸惑ったときは 呼び名の違いもあわせてどうぞ。
なぜ「WHO収載」が重みを持つのか
数ある美容成分のなかで、公的な国際機関のモノグラフに収載されている植物はそれほど多くありません。 収載されているということは、植物としての素性がはっきりしていて、伝統的な利用と一定の研究の裏づけがあることの目安になります。 健康・美容の情報(YMYL領域)では「誰が・何にもとづいて言っているか」が重要で、WHOモノグラフはその点で強い出発点になります。
読むときの注意点
第1巻は1999年の刊行で、それ以降の新しい研究は含まれていません。最新の評価は EMA(欧州医薬品庁)の評価報告など、より近年の公的資料もあわせて読むのが正確です。 また、モノグラフの記述の多くは伝統医療や医薬品的な使い方を前提にしたものであり、 化粧品としての使用がそのまま同じ効果を意味するわけではない点に注意してください。
出典・参考文献
本記事の記述は、以下の一次情報(原著論文・公的資料等)にもとづきます。
- World Health Organization. WHO Monographs on Selected Medicinal Plants, Volume 1. 1999(Herba Centellae, p.77). https://www.e-lactancia.org/media/papers/Fitoterapia-WHO-01.pdf