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アシアチコシド(Asiaticoside)とは──作用と研究

CICA(ツボクサ)の成分の話で真っ先に名前が挙がるのが「アシアチコシド」です。糖がついた配糖体という形で、創傷治癒やコラーゲンの研究でしばしば登場します。ここでは、その正体と、研究でわかっていることを段階を添えて整理します。

アシアチコシドとは

アシアチコシド(Asiaticoside)は、ツボクサ(Centella asiaticaに含まれる代表的なトリテルペン成分のひとつです。 ツボクサの働きの中心とされる4つのトリテルペンのうち、 もっとも研究の言及が多い成分といってよいでしょう。成分全体の位置づけは ツボクサ成分の総まとめもあわせてご覧ください。

化学的な位置づけ(配糖体)

アシアチコシドは、配糖体(はいとうたい)と呼ばれる形の成分です。配糖体とは、成分の本体に糖がくっついた構造のこと。 アシアチコシドから糖が外れると、アシアチック酸(Asiatic acid)という「アグリコン(糖なしの本体)」になります。 つまりアシアチコシドとアシアチック酸は、いわば“糖のありなし違いのペア”です[4]

配糖体は水になじみやすい

糖がついた配糖体は、一般に水になじみやすい性質があります。肌への届き方(浸透)は分子の大きさや性質に左右されるため、 くわしくは肌への浸透・DDSの解説もご参照ください。

創傷治癒・コラーゲンの研究

アシアチコシドは、古くから創傷治癒(傷の治り)コラーゲンの文脈で研究されてきました。 1994年の研究では、アシアチコシドを含むツボクサのトリテルペン成分が、ヒト皮膚の細胞において I型コラーゲンの産生を高めたことが報告されています[1]。 I型コラーゲンは肌のハリを支える主要なタンパク質で、この“土台づくり”への関与が関心を集めてきました。

近年の総説でも、ツボクサとそのトリテルペン成分は、皮膚の修復や結合組織の形成に関わるプロセスと関連づけて整理されています[4]。 また、傷あと(瘢痕)に対するツボクサクリームを用いたヒト試験も行われています[3]

メラニンに関する研究

アシアチコシドは、色素(メラニン)の分野でも研究があります。マウス由来の培養細胞(B16F10)を用いた研究では、 アシアチコシドがメラニン生成(メラノジェネシス)に関わる経路にはたらき、その産生を抑えたと報告されています[2]。 透明感の文脈でツボクサが語られる理由の一端です。

研究段階の読み方

「段階」まで見て判断する

上記の多くは培養細胞(in vitro)や動物での知見で、ヒトの肌でどの程度はたらくかは濃度や設計で変わります。 「有望な研究段階」として押さえるのが正確です。

まとめ

  • アシアチコシドはツボクサの代表的な配糖体で、アシアチック酸とペアの関係。
  • 研究ではコラーゲン産生・創傷治癒・メラニン抑制との関わりが報告されています。
  • 多くは in vitro/動物/小規模ヒト試験の段階で、断定は避けて読むのが正確です。

出典・参考文献

本記事の記述は、以下の一次情報(原著論文・公的資料等)にもとづきます。

  1. Bonté F, Dumas M, Chaudagne C, Meybeck A. Influence of asiatic acid, madecassic acid, and asiaticoside on human collagen I synthesis. Planta Med. 1994;60(2):133-135. https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/8202564/
  2. Kwon KJ, et al. Asiaticoside, a component of Centella asiatica, inhibits melanogenesis in B16F10 mouse melanoma. Mol Med Rep. 2014;10(1):503-507. https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/24756377/
  3. Jenwitheesuk K, Surakunprapha P, et al. A Prospective Randomized, Controlled, Double-Blind Trial of the Efficacy Using Centella Cream for Scar Improvement. Evid Based Complement Alternat Med. 2018;2018:9525624. https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC6166374/
  4. Sun B, Wu L, Wu Y, et al. Therapeutic Potential of Centella asiatica and Its Triterpenes: A Review. Front Pharmacol. 2020;11:568032. https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC7498642/