乾燥・バリア機能の基礎
乾燥は「うるおいが足りない」だけの問題ではありません。肌の一番外側にある“バリア”が弱ることで、水分が逃げやすくなるのが本質です。まずはこの仕組みからやさしく見ていきましょう。
乾燥とは肌で何が起きているか
肌の乾燥(ドライスキン)とは、肌の水分が不足し、うるおいを保てなくなった状態です。かさつき、つっぱり、粉ふき、小じわなどとして現れます。単に水分が足りないというより、「水分を保ちにくく、逃がしやすい肌の状態」になっている、と考えると理解しやすくなります。そのカギを握るのが、肌の一番外側にある「角層(かくそう)」です。
角層とバリア機能のしくみ
角層は、表皮の一番外側にある、わずか0.02mmほどの薄い層です。ここでは、角層細胞がレンガのように積み重なり、そのすき間を「細胞間脂質(セラミドなど)」がモルタルのように埋めています。この構造が、外からの刺激をブロックし、内側の水分が逃げるのを防ぐ「バリア機能」を担っています。さらに、角層内の天然保湿因子(NMF)や、表面をおおう皮脂膜も、うるおいを守るチームの一員です。
ポイント
乾燥対策の主役は「角層のバリア機能」。レンガ(角層細胞)とモルタル(細胞間脂質)がそろって、はじめて水分を保てます。どちらかが乱れると乾燥が進みます。
乾燥が進む主な要因
空気の乾燥や冷暖房、加齢による皮脂・セラミドの減少、洗いすぎや強い摩擦、熱すぎるお湯での洗顔などが代表的な要因です。バリアが弱ると、水分が逃げるだけでなく、外部刺激も入りやすくなり、赤みや敏感さにつながることもあります。乾燥と敏感は、しばしばセットで起こります。
保湿の基本的な考え方
保湿は、①水分を与える、②与えた水分を逃がさない(フタをする)、という二段構えで考えると整理できます。洗浄はやさしく、必要な皮脂を奪いすぎないことも大切です。バリア機能そのものについては、バリア機能・保湿のセクションで、CICA成分との関わりも含めて詳しくまとめています。
成分と肌の関わりを知る
スキンケア成分を考えるときは、「成分が肌のどこまで届くのか」という視点も役立ちます。角層は本来、異物を通しにくいバリアなので、成分の大きさや性質で浸透のしやすさが変わります。この考え方は肌の浸透・DDSの解説で図解しています。なお、ツボクサ成分と皮膚の関わりを幅広くまとめたレビュー[1]もあり、皮膚や組織修復に関する研究が整理されています。
出典・参考文献
本記事の記述は、以下の一次情報(原著論文・公的資料等)にもとづきます。
- Sun B, Wu L, Wu Y, et al. Therapeutic Potential of Centella asiatica and Its Triterpenes: A Review. Front Pharmacol. 2020;11:568032. https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC7498642/