食べるハーブとしてのツボクサ──世界の食文化
ツボクサはCICAコスメの成分として知られますが、東南アジアや南アジアでは、ずっと以前から“ふつうに食べる野菜”でした。サラダに、ジュースに、生のまま。世界の食卓でこの草がどう楽しまれてきたのかを旅してみましょう。
“薬草”であり“野菜”でもある
日本ではあまり食べる習慣がないため意外に思えますが、ツボクサ(Centella asiatica)は アジアの広い地域で日常の食材として親しまれてきました。 薬箱の中ではなく台所にあるハーブ──それがこの植物のもうひとつの顔です。 伝統利用の全体像はツボクサの歴史と伝統利用でも紹介しています。
呼び名メモ
食文化の文脈では、スリランカ由来のgotu kola(ゴツコラ)、 ベトナムのrau má(ラウマー)など、地域ごとの名前で登場します。 呼び名の全体像はこちらのページで整理しています。
スリランカ:ゴツコラ・サンボル
スリランカを代表するのが「ゴツコラ・サンボル(gotu kola sambol)」。 ツボクサの葉を細かく刻み、削ったココナッツ、玉ねぎ、青唐辛子、ライム、塩などと和えた、 さわやかなサラダ(サンボル)です。ごはんやカレーの付け合わせとして日常的に食べられ、 生の葉を丸ごといただくのが特徴です。
ベトナム:rau má(ラウマー)の飲み物
ベトナムではrau má(ラウマー)と呼ばれ、とりわけジュース(飲み物)として人気があります。 葉を水とミキサーにかけ、砂糖を加えて漉した緑色のドリンクで、暑い時期の“クールダウン”の定番。 スープや炒め物の具にもなり、都市部のカフェでも見かける身近な存在です。
タイ・東南アジア:生野菜として
タイではバイブアボック(บัวบก)の名で、生野菜の盛り合わせ(ナムプリックの付け合わせ等)に添えられたり、 ジュースにされたりします。マレーシア・インドネシアでもpegaga(ペガガ)としてサラダ(ウラム)に使われ、 東南アジア全体で「生でさっぱり食べる緑の葉」として定着しています。
| 地域 | 呼び名 | 代表的な食べ方 |
|---|---|---|
| スリランカ | gotu kola | サンボル(刻んでココナッツと和えるサラダ) |
| ベトナム | rau má | ジュース・スープ・炒め物 |
| タイ | bua bok | 生野菜・ジュース |
| マレーシア・インドネシア | pegaga | ウラム(生野菜のサラダ) |
“食べる”ことに注目した研究
食品・飲料としてのツボクサに注目した研究も出ています。 食品応用や抗酸化の観点から総説的にまとめたレビュー[1]のほか、 生のツボクサを食べたあとの、短時間の“さえ”や気分を健康な女性で調べたヒト試験も報告されています[2]。 こうした研究は興味深いものですが、規模は限られ、「食べれば必ずこうなる」と一般化できる段階ではない点に注意が必要です。
食べるときの前提
ツボクサは長い食経験のある植物ですが、日本の食卓ではなじみが薄く、 野草には別種の見分けにくい植物もあります。食用として口にする場合は、 食用として流通・確認されたものを選び、体質に不安があれば控えるのが安全です。
まとめ
- ツボクサはコスメ成分である以前に“食べる野草”で、南・東南アジアで広く食べられてきた。
- スリランカのゴツコラ・サンボル、ベトナムのrau máジュース、タイの生野菜が代表例。
- 食品・飲料としての研究もあるが、規模は限られ、過度な一般化はできない。
出典・参考文献
本記事の記述は、以下の一次情報(原著論文・公的資料等)にもとづきます。
- Hashim P, et al. Centella asiatica in food and beverage applications and its potential antioxidant and neuroprotective effect. Int Food Res J. 2011;18(4):1215-1222. https://www.ifrj.upm.edu.my/18%20%2804%29%202011/%281%29IFRJ-2011-013.pdf
- Lawal OM, Wakel F, Dekker M. Consumption of fresh Centella asiatica improves short term alertness and contentedness in healthy females. J Funct Foods. 2021;77:104337. https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S1756464620305612